急性低音障害型感音難聴(acute low-tone sensorineural hearing loss、ALHL)

①急性低音障害型感音難聴(acute low-tone sensorineural hearing loss、ALHL)とはどんな病気ですか?

 ある日突然耳が詰まったような感覚に陥り、発症します。特に低音 (低い音)だけが聞こえなくなるため自覚症状としては難聴というより耳閉塞感を主に訴える方 が多いです。耳鳴りを伴う場合もあります。またメニエール病と関係が深いといわれており、その後めまいが出現しメニエール病へ移行することもあります。あらゆる年代に起きますが、比較的若い20~30代の女性に多いといわれます。最近10年くらいの間に、患者さんの数は非常に多くなってきています。

 

 

②原因は何ですか?

 ストレスや疲労が発症の誘因になるといわれております。症状を反復しやすいこと、比較的難聴の予後が良好なことなどが特徴とされています。また、メニエール病と同様にグリセロールテストに反応することが多いことから、内リンパ水腫がその病態の1つである可能性も考えられています。

 

 

②どのような治療がありますか?

 一般的にはストレスがかからないようにして、薬物治療を行います。難聴が軽い場合の方は発症してから2週間以内に治療を開始すれば、約8割の方が治るといわれます。治療を始めて改善傾向が出てくるまでに3~4日はかかることが多いので、あせらずお薬を続けて下さい。ビタミンB12製剤、脳循環改善剤、利尿剤、漢方薬、ステロイドホルモン剤などのお薬を使います。

 また、睡眠不足、ストレス、体の慢性的な疲れなど心当たりがある場合は、普段よりもゆっくり休むことが大切です。以上の治療でなかなか治らない場合は、点滴治療や入院治療をおすすめする場合があります。

 治療の途中で聴力が変動する方は、1ヶ月から数ヶ月かかる場合もあります。めまいがある場合は、メニエール病という内耳の慢性病の初期の場合もありますので、経過観察が必要となります。改善した方でも、すぐに症状が再発する事もありますので、薬は途中で止めないでください。完治したといわれるまではしっかり通院加療することをおすすめいたします。