花粉症の初期療法について

①花粉症の初期療法について教えてください

 

 花粉症治療には、強い症状が出る前から治療をはじめる「初期療法」、症状が強くなってからはじめる「導入療法」、よくなった症状を維持するためにおこなう「維持療法」があります。花粉の飛散開始日はその年によって、また、地域によっても異なりますので、テレビやインターネットなどの花粉情報をチェックして、花粉が飛び始めるより早めの、2~3週間前には耳鼻科への受診をおすすめします。

 「初期療法」は、花粉症であることがわかっている患者さんの例年の症状に合わせて、花粉が飛び始める1~2週間前からお薬の服用を開始する治療です。「初期療法」により症状が出る時期を遅らせ、花粉シーズン中のつらい症状を軽くし、症状の終了を早めることができます。また最盛期に使用する薬の量を減らすなどの効果が期待されています。約半数の方に症状の軽減がみられ、およそ70%の方になんらかの効果がみられるといわれております。

 

②初期療法のポイントは?

 

 初期療法に使用されるお薬は、例年の症状(くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目の症状など)の程度などによって異なります。例年の症状を医師に相談して、自分に合ったお薬を処方してもらいましょう。お薬の中には眠気などの副作用のあるものもあります。仕事や日常生活に支障のないお薬を選ぶことも大切なことです。また、初期療法により症状が軽くなったからといって花粉シーズン途中でお薬をやめてしまうと症状がひどくなることがあります。花粉シーズン中は服用し続けることが大切です。

 また花粉症を軽減するためには日常のケアも重要です。外出時にはマスクや帽子を着用する、帰宅時にはコートなどにブラシをかけてから家に入る、目や鼻、ノドを洗う、スチーム吸入などで鼻やノドの粘膜をケアする、さらに自宅では掃除をこまめにしてほこりをためないなどの予防対策をとりましょう。ストレスも治療の妨げになります。睡眠時間をきちんととる、疲労をためないようにする、風邪をひかないようにする、タバコやアルコールはひかえるなど、生活習慣も見直して最盛期にそなえましょう。

 

③具体的にどのようなお薬を使うのですか?  

 鼻づまりに効果のあるお薬として抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬、抗ロイコトリエン薬があります。鼻づまりは、長引くと頭痛、いびき、睡眠障害などを引き起こし、日常生活の質(QOL)を大きく低下させることがあります。

 くしゃみ、鼻水に効果のあるお薬として、第2世代抗ヒスタミン薬、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、Th2サイトカイン阻害薬があります。第2世代の抗ヒスタミン薬は、第1世代の抗ヒスタミン薬にくらべ眠気などの副作用が軽減されています。