顔面神経麻痺について

 顔面神経麻痺はどのような病気ですか?

顔面神経麻痺は、顔を動かす神経の麻痺です。顔が動かなくなります。目を閉じることができなくなったり、食事をしたときに口から食べ物がこぼれてしまったりすることで、気がつくことが多いです。聞こえを調節する神経や、味を感じる神経、涙や唾液を出す神経も顔面神経に含まれているため、いろいろな症状が現れます。

 

 顔面神経麻痺はどうして起こるの?

一番多い「ベル麻痺」といわれるタイプは、神経が炎症によって腫れてしまうことが原因と言われています。顔面神経は顔面神経管と呼ばれる耳の骨の中の狭いトンネルを通って、脳から外に出てきます。ここが、何らかの原因ではれてしまうと顔面神経が圧迫されて麻痺が現れると考えられています。

次に多いのはハント症候群といわれ、ヘルペスウイルス(水ぼうそうのウイルスです)によるものです。典型的には外耳に水泡ができたりします。他にも顔面神経の腫瘍や、耳下腺の腫瘍などいろいろなことが原因で麻痺がおこります。

 

治療はどのようなものがありますか?

診断がはっきりしない場合や、麻痺の程度が強い場合などは入院が必要となります。発症してから時間がたってしまうと、治りにくくなってしまいますので、できるだけ早く治療することが大事です。

ステロイドによる治療が効果的と考えられていますが、糖尿病や感染症を悪化させる可能性もありますので、それらの病気がある場合には慎重な対処が必要になります。そのほかに、ビタミン剤などが神経修復に使われます。

明らかなヘルペスウイルス感染の証拠がない場合でも、抗ウイルス薬の投与で顔面神経麻痺が改善するという報告がありますので、同時に抗ウイルス薬が投与されることがあります。また、眼が閉じにくい場合は人工涙液(じんこうるいえき)を点眼して角膜を保護することが必要となります。

リハビリテーション療法も重要です。麻痺した筋肉をマッサージすることや、顔面の筋肉をはたらかせるために百面相の練習をすることが有効です。