鼓膜穿孔、鼓膜形成術について

①鼓膜穿孔について教えてください

 

鼓膜穿孔(こまくせんこう)は、鼓膜に穴が開いた状態です。急性中耳炎がひどくなったりして起きます。鼓膜に穴が開くと耳に突然痛みが生じます。耳から膿や出血したり、聴力低下、耳鳴りなどが起こることもあります。通常、中耳炎が治ると、鼓膜の穴は自然にふさがります。鼓膜切開後も感染が起こらなければ、通常は鼓膜が再生して、穴は自然に閉鎖する場合がほとんどです。慢性中耳炎などで数か月以上にわたって鼓膜穿孔が残存している場合や穿孔が大きい場合などは自然に閉鎖する可能性は低くなります。この場合は手術による修復が必要となることもあります。

 

②どんな原因がありますか?

 

鼓膜穿孔の原因として最も多いのは中耳の感染症(中耳炎)です。また鼓膜にかかる圧力が、爆発、平手打ち、潜水などで急に上がったときや、飛行機に乗っていて急に下がったときなどでも、鼓膜穿孔が起こることがあります。熱や薬品によるやけども原因となります。綿棒などを耳の中に差しこんだり、樹木の枝や投げられた鉛筆などが偶然耳の中に入ったりして鼓膜に穴が開いてしまうこともあります。中耳と鼻の奥をつないでいる耳管がふさがっていると中耳内と外界の空気圧の差が激しくなり、鼓膜に穿孔が起こることがあります(気圧外傷)。

 

 

③注意点は何ですか?

 

耳の中をきれいにして、鼓膜の穴からバイ菌が入るのを防ぎます。できるだけ耳を乾燥した状態に保ちます。耳にバイ菌が感染している場合は、抗生物質を飲んだり、耳に直接お薬を入れて治療します。耳だれがある場合は、できるだけ早く耳だれが止まるように処置、治療します。日常生活では入浴の際は、耳の中に水が入らないよう気をつけて ください。スイミングは医師の許可があるまでは禁止です。赤ちゃんなどが無意識に耳をさわってしまう場合は脱脂綿などによる耳栓をすることをお勧めします。

 

 

④鼓膜形成術について教えてください

 

2~3ヶ月しても穴がふさがらない場合は手術が必要になります。重度の傷や、著しい難聴、重度の回転性めまい、あるいはその両方を伴う場合などはさらに早期の手術が必要となることがあります。穴がふさがらないと中耳の感染が長びき、慢性中耳炎になることがあります。手術方法には大きく2つの方法があります。

1.鼓膜形成術ないし鼓室形成術Ⅰ型(通常は入院し、全身麻酔で行います。入院期間は1-2週間です)

2.接着法(一泊入院ないし日帰りで行います。局所麻酔が多いですが、行っていない病院も多いです。)どちらも一長一短がありますので、実際に手術する先生と相談されるとよいと思います。

注)当院では手術的治療は行っておりません。