耳鳴り

①耳鳴りの原因は何ですか?

最初に音が聞こえる仕組みについてお話します。音は空気の振動です。音は最初に鼓膜にぶつかり、さらにその奥の耳小骨に伝わります。そして内耳にある蝸牛へと伝えられます。蝸牛には音を感じる神経細胞があります。音のエネルギーは途中でいろいろな形に変換されて、神経細胞を興奮させます。この信号が脳幹を経由して、大脳の聴覚野というところに伝わり、ここで初めて音として認識されます。

耳鳴りがどうして起こるのかは、今でもはっきりわかっていないのが現状です。耳鳴りを訴える人の多くは、何らかの聴力障害を持っている方が多いのですが、聞こえが正常でも耳鳴りを訴える方もおります。聴覚系のどこかの異常が耳鳴りを起こすと考えられておりますが、過労やストレス、心因的な要素によっても耳鳴りは強くなったり、弱くなったりします。

 

 

②耳鳴りはどんな検査を行いますか?

耳鳴りの検査は通常、聴力検査、鼓膜の可動性などの検査、平衡機能検査、頭部の CTやMR、心理テストなどを行います。しかし、最も大事なのは患者さんが耳鳴りを自分の中でどのように捉えているかということで、いわゆる気になり方の程度が問題となってきます。耳からの障害による内耳性耳鳴りであっても無難聴性耳鳴りであっても、耳鳴りを感じている感覚レベルが亢進していると、特に静かな場所で耳鳴りの音を思い出してしまうことが多々あります。

 

 

③耳鳴りにはどんな治療がありますか?

現時点では耳鳴りに対して即効性のある治療というものはありません。内耳性耳鳴りの場合には、ビタミン B12、循環改善剤、ステロイド剤、漢方薬、星状神経節ブロックなどを用いて内耳障害の治療が行われます。耳鳴りの感覚レベルを抑制する方法として、キシロカイン注射、自律訓練、心理療法、TRTを行う病院もあります。耳鳴りを一時的に抑制する方法として、マスカー療法、抗不安薬、抗うつ剤等が用いられることもあります。サプリメントとしてイチョウ葉などが用いられることもあります。当院ではキシロカイン注射、自律訓練、心理療法、TRT、マスカー療法は行っておりません。希望される方は大学病院等を紹介させていただいております。