シェーグレン症候群について

①シェーグレン症候群はどのような病気ですか?  

1930年にスウェーデンの眼科医シェーグレンによって関節リウマチ(RA)を合併した乾燥性角結膜炎の報告が最初です。食事の時、水を必要とし、口腔の乾燥感を認めます。舌先に異常な感覚があったり、味覚の異常が出現したり、唾液腺が腫れてしまったりする場合もあります。眼が疲れやすく、眼がゴロゴロしたり、眼の灼熱感や違和感が出現したりします。

慢性唾液腺炎と乾燥性角結膜炎が主な症状ですが、全身の臓器の病変も伴うため、内科、眼科、耳鼻科、歯科口腔科の各科が共同して診療を行います。シェーグレン症候群は膠原病(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、混合性結合組織病) に合併する二次性シェーグレン症候群と、これらの合併のない原発性シェーグレン症候群に分類されます。

シェーグレン症候群の有病率は人口10万人に約15人とされています。男女比は1対14で女性に多く、発症年齢のピークは40~60代とされています。関節リウマチの患者さんの約20%にシェーグレン症候群が発症するといわれます。

 

②原因と診断について教えてください

 

 原因は自己免疫の異常ですが、遺伝的要因、ウイルスなどの環境的要因、女性ホルモンなどの要因などが複雑に関係していると考えられています。何らかの原因で免疫の異常が生じてしまい、自分の体にある蛋白質を自ら攻撃してしまうことによって発症します。 最終的には、唾液腺や涙腺の組織がこわされてしまうために、唾液や涙液の分泌が低下してしまいます。その結果、ドライアイやドライマウスなどの乾燥症状が出現します。

 

1999年 厚生省の診断基準

(1)口唇小唾液腺の生検組織でリンパ球浸潤がある

(2)唾液分泌量の低下がガムテスト、サクソンテスト、唾液腺造影、シンチグラフィーなどで証明される

(3)涙の分泌低下がシャーマーテスト、ローズベンガル試験、蛍光色素試験などで証明される

(4)抗SS‐A抗体か抗SS‐B抗体が陽性である

この4項目の中で2項目以上が陽性であればシェーグレン症候群と診断されます。

 

③治療法について教えてください

現状では根本的に治すことは難しいです。治療は対症的ですが、乾燥症状を軽くしたり、病気の活動性を抑えて進展を防ぐお薬を使ったりします。

目の乾燥、口の乾燥に対しては、毎日の点眼、口腔内を清潔に保つことを心がけるなどの注意が必要です。エアコン、飛行機の中、風の強い所、タバコの煙などに注意しましょう。

規則正しい生活、休養、バランスのとれた食事、適度の運動、ストレスを取り除くことなどが大切です。 また、シェーグレン症候群の患者さんは、さまざまな薬に対して薬剤アレルギーを起こしやすいので注意が必要です。