好酸球性副鼻腔炎について
①好酸球性副鼻腔炎について教えてください。
好酸球性副鼻腔炎は、両側の鼻の中に多発性の鼻茸ができて、手術をしてもすぐに再発する傾向のある難治性の慢性副鼻腔炎です。一般的な慢性副鼻腔炎は、抗菌薬と内視鏡を用いた手術で、かなり治すことが出来ますが、この副鼻腔炎は手術をしても再発しやすく、ステロイドを内服すると軽快するという特徴があります。この病気は、ほとんどの方が20歳以上の成人になってから発症します。男性の方が女性よりも多い傾向があります。
鼻茸を顕微鏡で調べると好酸球という免疫細胞が多数認められます。これまで日本人の鼻茸には好中球という免疫細胞が多く存在しておりましたので、この好酸球性副鼻腔炎は今までの副鼻腔炎とは違った原因で起こるか、異なった反応をしているのだろうと推測されます。
②どのような原因が考えられますか?
気管支喘息の人や、アスピリンなどの解熱剤などで喘息を起こしたりショックを起こしたりするアスピリン不耐症の人に多く起こります。また薬物アレルギーの人にも起こります。気管支喘息を起こすようになってから、好酸球性副鼻腔炎になるのか、逆に好酸球性副鼻腔炎になってから気管支喘息も起こすようになるのかについては、まだはっきり分かっておりません。これまでの調査では、気管支喘息が先の人、好酸球性副鼻腔炎が先の人、気管支喘息と好酸球性副鼻腔炎が同時に起こった人は、ほとんど同じ割合であり、それぞれ30%から35%程度です。
③どのような合併症がありますか?
鼻閉と嗅上皮の障害により嗅覚障害が起こります。嗅覚障害のため風味障害を含めた味覚障害も起こします。鼻閉のための口呼吸が気管支喘息発作を誘発し、著しい呼吸障害を起こすことがあります。また中耳炎を伴うことがあり、難聴を示すことがあります。中耳炎は好酸球性中耳炎と言われ、難治性です。耳だれが出ると、とても粘稠で止めることはかなり困難で、聴力障害が進行します。血液検査においては好酸球が血液中に現れます。鼻のCTでは目と目の間の篩骨洞に優位に炎症が認められ、その炎症は上顎洞よりも強いことが特徴です。