スギ花粉症に対する「舌下免疫療法」のお薬として鳥居薬品の「シダトレン」が2014年秋より保険適用になりました。
舌下免疫療法は、スギ花粉のエキスを口の中に垂らして、身体に少しずつ慣らしていくことで、症状の軽減をはかる治療法です。くしゃみや鼻水などの症状を和らげる薬とは異なり、体質そのものを変える根本的な治療です。治療には3〜5年程度が必要となり、毎日1回継続する必要があります。効果については、7〜8割は症状が軽くなり、1~2割は症状が出なくなるといわれます。残り2割の方は治療前と変わらないといわれております。
子どもの場合、海外では5歳以上を対象としているケースがありますが、日本のスギ花粉症における舌下免疫療法については原則として12歳以上が対象となっています。また、適応年齢の上限はないため、高齢者の方も治療を受けることができます。
花粉飛散時期に治療を開始すると副作用が出現する可能性が高まりますので、船橋市在住の方は、5月下旬から10月までの間に治療を開始することが望ましいです。エキス剤は、2~3年間の治療中はシーズン外でも毎日投与する必要があります。
舌下免疫療法を行なっていても、花粉症の症状がでた場合はお薬を使って大丈夫です。花粉の飛散が非常に多い時には症状も出やすくなりますので、我慢せずに適切な薬の併用をお勧めします。ただし舌下免疫療法は免疫の力で体質を改善する治療ですので、ステロイド剤は全身の免疫能を減らすことがありますので併用を控えてもらう様にお願いしております。点眼や点鼻薬は全身に作用しませんので、舌下免疫療法と併用しても構いません。
副作用としては、アナフィラキシーショック、口腔内のかゆみ、喘息発作、腹痛、嘔吐などがあります。アナフィラキシーショックは重篤になると命にかかわることがあります。最初は口や手足のしびれ、じんま疹、冷や汗などで始まりますが、しだいに脈が非常に弱くなり、血圧が急激に低下するのが特徴です。そのまま放置しますと、呼吸困難、チアノーゼ(動脈血の酸素不足のため皮膚や粘膜が青白くなる反応)、意識を失うといった激烈な反応が現われます。
アナフィラキシーショックなどが出現した場合は専門医の指示のもと治療を行う必要があります。副作用の発現を避けるために、以下の注意点をきちんと守らなければなりません。
- 舌下への投与後、5分間はうがいや飲食を避ける。
- 舌下への投与後、2時間は激しい運動や入浴などは避ける
以下の方は舌下免疫療法を受けることはできません
- 妊娠されている方
- 喘息や気管支喘息の症状が強く出ている方
- 重症の口腔アレルギーの方
- 抜歯後などの口腔内の術後、傷や炎症などがある方
- ステロイドや抗がん剤、β阻害薬使用など特定の薬を使用されている方
(心臓病の方、癌の治療をしている方、高血圧の方、免疫抑制剤を使用している方など)