いとう耳鼻咽喉科 千葉県船橋市 船橋・前原・津田沼地域の耳鼻科

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慢性上咽頭炎とBスポット療法、E-EATについて

このページでは慢性上咽頭炎とBスポット療法、E-EATについて解説します。

1. Bスポット療法について

Bスポット療法は、慢性上咽頭炎に対して0.5~1%塩化亜鉛溶液を上咽頭粘膜に塗布、擦過する治療方法です。1960年から1970年代に、山崎春三大阪医大初代耳鼻科教授と堀口申作東京医科歯科大学初代耳鼻科教授が精力的に取り組まれました。

堀口先生が鼻咽腔のBを取って「Bスポット療法」と命名されました。現在は一部の耳鼻科医が引き継いで、行っている状況です。当時は現在のような精巧な内視鏡機器はなかったので、肉眼的に慢性上咽頭炎を診断することは困難でした。

2. 慢性上咽頭炎の臨床症状

慢性上咽頭炎は多彩な疾患、症状への関与が示唆されております。大きく分類すると、以下の3つに大別されます。

  1. 局所炎症そのものによる関連症状
    後鼻漏、咽頭痛、咽頭異常感、頭痛、首こり、肩こり、慢性咳嗽など
  2. 自律神経障害を中心とした神経、内分泌系障害による全身症状
    全身倦怠感、眩暈、睡眠障害、起立性調節障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症、機能性胃腸症、過敏性腸症候群、記憶力・集中力の低下など
  3. 自己免疫機序を介した疾患症状
    IgA腎症、IgA血管炎、ネフローゼ症候群、掌蹠膿疱症、関節炎、胸肋鎖骨関節過形成症など

慢性上咽頭炎はこれらの病態が重なり合い、多彩な症状を発現していると考えられます。

3. 慢性上咽頭炎の発症機序

慢性上咽頭炎による症状の発症機序に関しては諸説ありますが、1の局所症状は,上咽頭の局所炎症による痛み,膿汁流出,放散痛によるものと考えられます。

2の自律神経障害、内分泌系障害による全身症状は、上咽頭における静脈鬱血、脳脊髄液鬱滞による脳幹・視床・視床下部の循環障害による機能低下の可能性が考えられています。
また自律神経過剰刺激症候群(Relly現象)は迷走神経などの自律神経系へ、強い刺激や、炎症関連因子などによる持続性刺激が加わると、その神経の支配領域や遠隔臓器に微少循環障害による出血性病変を来す現象ですが、このRelly現象が慢性上咽頭炎による多彩な症状の誘因となっているのではないかと考えられています。

3のIgA腎症、IgA血管炎や関節炎、掌蹠膿疱症などの自己免疫、自己炎症性疾患は、上咽頭が口蓋扁桃と共にワルダイエル扁桃輪を構成していることを考えると、扁桃病巣疾患と同様の免疫学的機序で生じていると考えられます。

4. Bスポット療法における塩化亜鉛の役割

現在、耳鼻科外来では0.5~1%塩化亜鉛溶液を用いることが標準的治療とされております。塩化亜鉛(ZnCl2)は、1648年にドイツのJohann Rudolf Glauberにより合成されました。主にメッキの表面清浄や防腐剤として使用されておりますが、蛋白質を変性させ、組織や血管を収斂させる作用があります。また、塩化亜鉛は唾液中での細胞の分解を抑制したり、唾液細胞成分中のタンパク分解酵素の活性を阻害して細胞の腐敗化による揮発性硫化物の発生を抑制することが報告されております。上咽頭粘膜を綿棒にて擦過し、組織からの出血を認めた場合の方が明らかな自覚症状の改善を認めることはよく経験されていることです。塩化亜鉛の直接的な抗炎症作用も重要と考えられますが、それ以外の作用機序が治療の効果発現に主に関与していることが推察されております。

5. E-EAT(内視鏡を使ったBスポット療法)について

田中亜矢樹医師により、帯域制限光内視鏡を応用した診断と治療、すなわち内視鏡下上咽頭擦過療法(Endoscopic Epipharyngeal Abrasive Therapy : E-EAT)が提唱されております。
EATは「上咽頭を擦る治療」という意味です。E-EATは診断精度や治療手技の向上を目的として、従来のBスポット療法では処置が不十分になりがちな上咽頭天蓋や側壁を観察しながら、内視鏡下に1%塩化亜鉛を上咽頭粘膜に塗布、擦過する診断的治療方法です。E-EATは「内視鏡を使った上咽頭擦過治療」といえます。

6. 当院での慢性上咽頭炎の治療について

当院ではこの内視鏡を使用するE-EATを基本に、上咽頭治療を行っております。

EATは医師によって処置方法が異なります。鼻から処置行った後に、喉の方から咽頭倦綿子を挿入して「グリグリ」と擦る方法が多いのですが、最初は痛みがとても強いので、患者さんによっては喉側からの処置に多大な恐怖に感じる方も多いです。当院では鼻からの処置で出血が多い場合や痛みが強い場合、喉側からの処置で恐怖を感じられる方には、最初は鼻からの処置だけ行う場合もあります。症状や所見の変化に応じて処置方法を選択しております。

治療の効果ですが、個人差が大きく、原因となる疾患、治したい症状とその程度などによって大きく異なります。
EATは1回の治療で完治が期待できる万能の治療方法ではありません。治療の目安として最初は週2回の頻度で、約1ヶ月間の通院治療をお勧めしております。

EATによって治療効果が期待できる方は、何らかの自覚症状の改善が得られることが多いです。約1ヶ月治療を行ってもあまり効果を感じられない場合は難しいかもしれません。

自由診療で行っている医院もありますが、当院では保険診療の範囲内で行っておりますので、月1回ぐらいを目安とした内視鏡を使ったE-EATと、Bスポット療法を組み合わせて行っておりますことをご了承願います。

7. 慢性上咽頭炎とEAT関連リンク

病巣疾患研究会Webサイト

EATを行っている医院リスト

堀田修先生のWebサイト

田中亜矢樹先生のWebサイト

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