いとう耳鼻咽喉科 千葉県船橋市 船橋・前原・津田沼地域の耳鼻科

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診療時間・曜日
午前診療9:00-12:00 × × ×
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慢性上咽頭炎とBスポット療法、EATについて

このページでは慢性上咽頭炎とBスポット療法、EATについて解説します。

お知らせ(2024年1月5日現在)

新型コロナウイルス感染後遺症として上咽頭炎を訴えて、上咽頭擦過治療(EAT)を希望する患者さんが増えております。PCR検査で陽性と確認されてから14日日以内の方、まだ発熱や咳などの風邪症状が続いている方などに対しては、感染予防の観点から医師の判断で上咽頭擦過治療(EAT)は行っておりません。

また当院では新型コロナウイルスのPCR検査等はおこなっておりません。新型コロナウイルス感染の診断を希望される場合は診断可能な医療機関の受診をお勧めいたします。当院は労災保険指定医療機関ではありませんので労災認定を希望される場合は労災保険指定医療機関の受診をお勧めいたします。

当院はコロナ後遺症の診断は行っておりません。傷病手当金の支給を希望される場合は、労務不能であるか否かの判断が必要となりますので、コロナ後遺症外来の受診をお勧めいたします。

当院で初めてEAT(Bスポット療法)を希望される方へ(2024年1月5日現在)

問診票記入、検査等に時間がかかります。終了後も安静待機が必要な場合もあります。

EAT(Bスポット療法)を希望される方は午前中は11時までに、午後は16時までに(土曜日午後は15時30分までに)受付を済まされるようにお願いいたします。EATの受付時間を過ぎますと、当日はEATを受けることは出来ません。時間に余裕をもって受診されることをお勧めいたします。

お試しでEAT(Bスポット療法)を希望される方がおられますが、診察しただけではEATの適用があるかどうかは判断できません。経鼻的アプローチ、経口的アプローチで擦過診断、治療を行うのが本来のEATとなりますことをご了承ください。

来院前のWeb問診にご協力ください

ご来院前にオンラインで事前に問診を入力することで、来院後の受付・診察がスムーズになります。ぜひご利用ください。

記入時の注意点
●患者様の状態を把握するための問診です。できる限り正確にお答えください。
●Web問診記入後、来院時に受付に「Web問診に回答した」旨をお申し出ください。
●初めて受診される方は、「耳鼻科問診」を必ずご記入ください。
●お薬手帳をアプリで管理されている方は、お薬手帳アプリ画面のスクリーンショットを撮影のち、Web問診にアップロードしてください。

※web問診は事前に診療を予約するシステムではありません。来院し、受付された時点で診療を行っておりますことをご了承ください。

いとう耳鼻咽喉科の事前Web問診ページ

1. Bスポット療法について

Bスポット療法は、慢性上咽頭炎に対して0.5~1%塩化亜鉛溶液を上咽頭粘膜に塗布、擦過する治療方法です。1960年から1970年代に、山崎春三大阪医大初代耳鼻科教授と堀口申作東京医科歯科大学初代耳鼻科教授が精力的に取り組まれました。

堀口先生が鼻咽腔のBを取って「Bスポット療法」と命名されました。現在は一部の耳鼻科医が引き継いで、行っている状況です。当時は現在のような精巧な内視鏡機器はなかったので、肉眼的に慢性上咽頭炎を診断することは困難でした。

2. 慢性上咽頭炎の臨床症状

慢性上咽頭炎は多彩な疾患、症状への関与が示唆されております。大きく分類すると、以下の3つに大別されます。

  1. 局所炎症そのものによる関連症状
    後鼻漏、咽頭痛、咽頭異常感、頭痛、首こり、肩こり、慢性咳嗽など
  2. 自律神経障害を中心とした神経、内分泌系障害による全身症状
    全身倦怠感、眩暈、睡眠障害、起立性調節障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症、機能性胃腸症、過敏性腸症候群、記憶力・集中力の低下など
  3. 自己免疫機序を介した疾患症状
    IgA腎症、IgA血管炎、ネフローゼ症候群、掌蹠膿疱症、関節炎、胸肋鎖骨関節過形成症など

慢性上咽頭炎はこれらの病態が重なり合い、多彩な症状を発現していると考えられます。

3. 慢性上咽頭炎の発症機序

慢性上咽頭炎による症状の発症機序に関しては諸説ありますが、1の局所症状は,上咽頭の局所炎症による痛み,膿汁流出,放散痛によるものと考えられます。

2の自律神経障害、内分泌系障害による全身症状は、上咽頭における静脈鬱血、脳脊髄液鬱滞による脳幹・視床・視床下部の循環障害による機能低下の可能性が考えられています。
また自律神経過剰刺激症候群(Relly現象)は迷走神経などの自律神経系へ、強い刺激や、炎症関連因子などによる持続性刺激が加わると、その神経の支配領域や遠隔臓器に微少循環障害による出血性病変を来す現象ですが、このRelly現象が慢性上咽頭炎による多彩な症状の誘因となっているのではないかと考えられています。

3のIgA腎症、IgA血管炎や関節炎、掌蹠膿疱症などの自己免疫、自己炎症性疾患は、上咽頭が口蓋扁桃と共にワルダイエル扁桃輪を構成していることを考えると、扁桃病巣疾患と同様の免疫学的機序で生じていると考えられます。

4. Bスポット療法における塩化亜鉛の役割

現在、耳鼻科外来では0.5~1%塩化亜鉛溶液を用いることが標準的治療とされております。塩化亜鉛(ZnCl2)は、1648年にドイツのJohann Rudolf Glauberにより合成されました。主にメッキの表面清浄や防腐剤として使用されておりますが、蛋白質を変性させ、組織や血管を収斂させる作用があります。また、塩化亜鉛は唾液中での細胞の分解を抑制したり、唾液細胞成分中のタンパク分解酵素の活性を阻害して細胞の腐敗化による揮発性硫化物の発生を抑制することが報告されております。上咽頭粘膜を綿棒にて擦過し、組織からの出血を認めた場合の方が明らかな自覚症状の改善を認めることはよく経験されていることです。塩化亜鉛の直接的な抗炎症作用も重要と考えられますが、それ以外の作用機序が治療の効果発現に主に関与していることが推察されております。

5. EAT(内視鏡を使ったBスポット療法)について

田中亜矢樹医師により、帯域制限光内視鏡を応用した診断と治療、すなわち内視鏡下上咽頭擦過療法(Endoscopic Epipharyngeal Abrasive Therapy : E-EAT)が提唱されております。
EATは「上咽頭を擦る治療」という意味です。EATは診断精度や治療手技の向上を目的として、従来のBスポット療法では処置が不十分になりがちな上咽頭天蓋や側壁を観察しながら、内視鏡下に1%塩化亜鉛を上咽頭粘膜に塗布、擦過する診断的治療方法です。EATは「内視鏡を使った上咽頭擦過治療」といえます。

6. 当院での慢性上咽頭炎の治療について

当院ではこの内視鏡を使用するEATを基本に、上咽頭治療を行っております。

EATは医師によって処置方法が異なります。鼻から処置行った後に、喉の方から咽頭倦綿子を挿入して「グリグリ」と擦る方法が多いのですが、最初は痛みがとても強いので、患者さんによっては喉側からの処置に多大な恐怖に感じる方も多いです。当院では鼻からの処置で出血が多い場合や痛みが強い場合、喉側からの処置で恐怖を感じられる方には、最初は鼻からの処置だけ行う場合もあります。症状や所見の変化に応じて処置方法を選択しております。

治療の効果ですが、個人差が大きく、原因となる疾患、治したい症状とその程度などによって大きく異なります。
EATは1回の治療で完治が期待できる万能の治療方法ではありません。治療の目安として最初は週2回の頻度で、約3ヶ月間の通院治療をお勧めしております。

EATによって治療効果が期待できる方は、何らかの自覚症状の改善が得られることが多いです。あまり効果を感じられない場合は難しいかもしれません。

自由診療で行っている医院もありますが、当院では保険診療の範囲内で行っておりますので、月1回ぐらいを目安とした内視鏡を使ったEATと、Bスポット療法を組み合わせて行っておりますことをご了承願います。

7. 慢性上咽頭炎とEAT関連リンク

院長論文一覧

東京都福祉保健局コロナ後遺症

covid-19感染後後遺症

病巣疾患研究会Webサイト

EATを行っている医院リスト

茂木立学先生のWebサイト

堀田修先生のWebサイト

田中亜矢樹先生のWebサイト

今井一彰先生(慢性上咽頭炎)

今井一彰先生(ミサトールリノローション)

今井一彰先生(鼻うがい)

渋谷ヒラハタクリニック(コロナ後遺症外来)

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