副腎疲労症候群について
副腎疲労には下記の様な兆候があります。
- 朝が起きられない
- 起きた後も倦怠感が続く
- しょっぱいものが欲しくなる
- とにかく疲れやすい
- 毎日をやっとの思いで過ごす
- 性欲が減退した
- 怪我や病気の治りが遅い
- 立ちくらみがする
- うつ気味である
- 何をしても楽しくない
- 考えがまとまらない
- 物忘れが酷くなった
- 忍耐力がなくなった
- ストレスの処理ができなくなった
- 食事を抜くと症状が酷くなる
- 月経前症候群が強くなった(女性のみ)
副腎とは?
副腎は多種のホルモンを分泌する内分泌器のひとつです。腎臓の隣にあることから、この名があり副腎の主要な働きはホルモンの生産と分泌です。副腎皮質からは、コルチゾール、アルドステロン、アンドロジェン(DEHA/DHEA-S)など多種のステロイドホルモンが分泌されています。コルチゾールは日常生活で受けるストレスや免疫機能のコントロール作用があります。アンドロジェンのDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)は、テストステロン(男性ホルモン)及びエストロゲン(女性ホルモン)など多くのホルモンに変化します。
体の中でもこれだけ多くのホルモンを作り、多岐にわたる機能をもった臓器は少なく、逆に言えば副腎に高いストレスや負担がかかることによって体に現れる症状は少なくありません。アレルギー症状・ぜんそく・リウマチ・関節炎・骨密度の低下・化学物質過敏症・慢性疲労・高血圧・高血糖・肥満・不眠症・慢性微熱のどれを見ても現代人の多くが持ち悩む症状ばかりです。
一般には副腎が話題になるといえばステロイド、高血圧、アディソン病くらいしかないようですが、血液検査・尿検査はいたって正常なのに原因不明といわれる症状の背景の多くに副腎機能の低下が関わっているといえるでしょう。
副腎機能低下症
副腎機能が様々な要因によって低下してしまう病態を表します。正常な副腎は微量ですが、正確な量のステロイドホルモンを分泌します。しかし、それは人体の内面的な身体的、感情的、精神的環境に対して非常に過敏に反応するため、多くの要素がこの絶妙なバランスを崩す要因となります。
つまり、この様々なストレスが副腎を疲労させ、その結果副腎ホルモン(特にコルチゾール)の放出量を減少させることになるのです。この副腎機能低下症の程度は、正常に近い方から殆ど枯渇している方まで様々です。ほとんど枯渇している副腎機能低下症のことは、アディソン病と呼ばれています。これは、未治療でいると生命を脅かします。アディソン病の診断を受けた方は、生涯ステロイドホルモンを飲み続ける必要があります。このアディソン病は、10万人に4人というめずらしい病気です。原因はおよそ70%が自己免疫であるのに対し、30%は過酷なストレスなどと言われています。
副腎疲労症候群
現実にはアディソン病とまではいかない人々が何100万人もいると推定されます。 Dr. James L. Wilson はこれら Non-Addison's Hypoadrenia (非アディソン病副腎機能低下)を副腎疲労症候群と呼んでいます。実際のところ、臨床現場ではこの副腎疲労症候群は十分認識されているとは言い難いのですが、この疾患が人生に与える影響は大きく、深刻なケースでは1日2・3時間ベッドから這い出るのがやっとという場合もあります。また、副腎疲労は体内の臓器に大きい影響を与え、炭水化物、タン白、脂肪代謝を変化させます。興味深いことに、副腎疲労があっても人は何とか頑張れます。人体は副腎疲労を補うためにベストを尽くすからです。しかし、その代償は高くつきます。
副腎疲労症候群の評価
コルチゾールとDHEAを測定することは、副腎機能を評価するのにもっとも信頼性の置ける検査です。血中のDHEAを測定します。唾液を入れる容器を持って帰って頂きます。通常と同じ生活が送れる日を1日選び、唾液を4回(朝・昼・午後4時・夜12時)採って頂きます。(採血での検査は緊張を強いられるために、副腎が緊張しているととられてしまうことがあり、適切ではありません。)また平均と比べて、コルチゾール/DHEAがどうなっているのかをみます。これらの情報から、食事・栄養療法・ストレスマネージメント・薬物的ホルモン治療など、どの方法がベストかを知ることができます。ストレス下では、健康な副腎はコルチゾールとDHEAの両方共に正常値より上昇します。そのような一過性の上昇がストレスに対抗して、健康を守っています。しかし、そのストレスが慢性化すると、副腎は予備のDHEA産生を継続できなくなり、DHEAレベルが低下してきます。コルチゾールの上昇の継続とDHEAレベルの低下を見たら、副腎疲労の初期段階です。