Bスポット療法について
① 鼻咽腔は鼻とのどの境目の部分にあり、ここにアデノイド(咽頭扁桃)が存在します。ここに起きた炎症を鼻咽腔炎あるいは上咽頭炎と言います。小児のアデノイド増殖症はいびきや睡眠時無呼吸、滲出性中耳炎の原因になります。鼻咽腔炎は風邪などの急性期にはのどの痛みとして感じることも多いのですが、急性期を過ぎると鼻咽腔炎とは気づかないケースもあり、慢性頭痛や肩こり、眼の疲れ、長引く鼻づまり、などの症状が持続する場合もあります。後鼻漏といってねばねばした粘液が鼻とのどのあいだにたまるといった症状として自覚することもあります。
② Bスポット療法(鼻咽腔(上咽頭)塩化亜鉛塗布療法)では咽頭巻綿子に1%塩化亜鉛液を含ませて鼻咽腔を擦りますが、鼻咽腔炎があれば出血する場合が多いです。塩化亜鉛液は収斂作用(タンパク質を変性させ、組織や血管を縮める作用)をもつ薬剤ですので、炎症がある咽頭扁桃や耳管扁桃に塗布することによって、後鼻漏、のどの痛み、耳閉感、カゼ症状などを改善します。
③ この治療法はく50年以上前から行われている治療法で、東京医科歯科大学耳鼻咽喉科の堀口申作名誉教授が提唱されたものです。病巣感染症といって扁桃や鼻咽腔に慢性炎症があると皮膚や腎臓、関節など離れた臓器に障害が起こることがありますが、Bスポット療法が掌蹠膿疱症やアトピー性皮膚炎、喘息、めまい、自律神経失調症、膠原病、IgA腎症などに効果があるという報告もあります。 しかしBスポット療法がなぜ効果があるのかまだよくわからないこともありますので、膠原病内科医や皮膚科医、腎臓内科医といった各診療科の専門医の検査・治療を継続していただいた上で、補助的な治療法としてBスポット療法を受けていただく事をお勧めいたします。
④ ほとんど副作用はありませんが、塩化亜鉛液は塗布するとかなりしみて痛みます。炎症が治まってくれば痛みは和らぎますが、治療後、一時的に鼻汁が増え、鼻血が多く混じることがあります。頭痛やアトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症などの皮膚症状が一時的に悪くなることもあります。翌日位までは痛みが逆に強くなり、2日後くらいからだんだん回復してくる場合もあります。