溶連菌(ようれんきん)感染症について
①溶連菌とはなんですか?
化膿レンサ球菌( Streptococcus pyogenes )、あるいはA群β溶血性レンサ球菌のことを溶連菌と呼びます。この菌による感染を溶連菌感染症といいます。
この菌は咽頭や扁桃腺に感染して、のどの痛みや熱を出します。2、3才から小学校低学年くらいまでの小さいお子さんが主に感染します。潜伏期間は2日から5日が大半です。
症状は38~39度の発熱とのどの痛み、嘔吐から始まります。風邪と症状が似ています。その後、かゆみを伴う赤く細かい発しんが体や手足に現れたり、舌に苺のようなブツブツが発生して(イチゴ舌)、熱が下がると手足の皮膚がむけることもあります。熱は治療しなくても、 自然に下がることもありますが、1-2週間後に再び 発熱する場合があります。
溶連菌はかかった人のせきやくしゃみ、つばなどのしぶきによって感染します(飛まつ感染)。あるいは排出された細菌が手などを介し、口に入ることによって感染することもあります(経口感染)。
②どんな治療を行いますか?
検査を行なった上で溶連菌に感染していることがわかれば、抗生剤を長期間服用します。通常、溶連菌には抗生剤がよく効きますのでお薬を飲み始めて2日もすれば、熱やのどの痛み、発疹などの症状は治まって来ます。
しかし、ここで安心してはいけません。溶連菌は扁桃腺の中などに潜んで、慢性の炎症を起こすことがありますので、抗生剤を10日~14日続けて内服し、できるだけしっかりと菌を殺しておくことが重要です。
溶連菌は別の大きな病気(合併症)の原因になりやすい細菌ですので、溶連菌を完全に退治するまで、10日間~14日間ほど抗生剤を飲み続ける必要があります。完治したかどうかは、発症時の症状が改善した2〜3週間後に検査してわかります。症状がおさまったからといって油断は大敵です。
③どのような合併症がありますか?
溶連菌を原因とする合併症には、心臓弁膜に障害などを起こすリウマチ熱や、血尿やむくみを伴う急性糸球体腎炎、全身の皮膚に赤い発しんが現れる猩紅熱(しょうこうねつ)などがあげられます。
急性糸球体腎炎は溶連菌に感染して、1~3週間後ぐらいに起きることが多いので、1ヵ月後くらいに一度検尿を受けておくと安心です。もし、急性糸球体腎炎になってしまったら、残念ながら、これを積極 的に治す治療法はありません。入院して安静にし、水分と塩分を極力控え、利尿剤で尿を出したり、血 圧を下げたりしてしのぎます。場合によっては慢性腎炎、さらには腎不全となり、透析が必要になることもあります。