良性発作性頭位めまい症について
①良性発作性頭位めまい症はどんな病気ですか?
良性発作性頭位めまい症(りょうせいほっさせいとういめまいしょうBenign paroxysmal positional vertigo:BPPV)は耳石の異常により起こると考えられている末梢性めまいです。めまい専門外来で診る末梢性めまいの約40%を占めるという報告もあります。
ベッドに寝たり、ベッドから起きたり するときに若干の潜時があって、30秒から1分程度のめまいが出現します。めまいは次第に減弱、消失します。めまいの症状としては、回転性(自分の体や周囲がゆれたり回転したりしているという感覚)の激しいめまいが起こる場合と、平衡機能が異常を起こし、バランスを保ちにくくなる場合があります。また、首を後ろ にそらしたり、後ろを振り向いたりしたときにも浮動感として感じる人もいます。耳石は内耳で再吸収されることで消失し、自然融解すると言われています。そのため、症状は2-3週間で、自然治癒していく場合もみられます。
めまい発作の時は吐き気や嘔吐などの症状を伴う場合がありますが、難聴、耳鳴や 手足のしびれなどの他の神経症状は伴いません。比較的高齢の方や、40~60代の女性に多くみられます。長期臥床も発症に関連すると考えられています。
②どんな治療がありますか?
治療の際には、ストレス、過労、風邪など、めまいを誘発する原因を取り除くことが大切です。平衡機能を改善させるためにリハビリでの治療を行います。半規管内の浮遊物を卵形嚢に戻す浮遊耳石置換法(エプリー法)が有効な治療法と考えられます。めまいが起こる頭位を取れば改善していくので、安静は避け、積極的にめまい頭位をとることでめまいに慣れ、症状を抑える治療もあります。
しかし、頸椎異常などで頭位治療が出来ない人や、頭位治療を希望しない人の場合は薬物療法を行い、自然治癒を待ちます。日常生活においては患側の耳を下にして寝ることは避けるようにします。ベッドから起きるときはゆっくりおきて、その後しばらくは、座った状態を保ってから起きあがるようにします。しゃがんでものをとるなど、あまり頭を下げる行為は避けたほうがよいとされています。しかし、1~2週間程度で改善傾向がない場合は頭位治療を検討したほうがよいとされます。
全体では、1年で再発率は30%、5 年では50%と再発率も比較的高いとされています。骨粗しょう症、 高脂血症など基礎疾患がある場合は再発率が高く、難治性になること が多いので、基礎疾患の治療は重要です。症状が1カ月以上続く場合は頸部めまいや血管循環も考慮して整形外科や脳神経外科で、詳しく調べられることをお勧めします