レーザー治療について
①アレルギー性鼻炎に対するレーザー治療について教えてください。
レーザー治療は鼻の粘膜表面にレーザーを照射してアレルギーの反応を抑える治療です。アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりを特徴として、ホコリやダニなどが原因の通年性アレルギーと、スギやカモガヤ、ブタクサなどの花粉が原因の季節性アレルギーがあります。
現在、いろいろな治療が行われておりますが、アレルギー反応を抑える薬や点鼻薬などでは症状を抑えることが出来ない方、薬が合わない方、お薬の量を減らしたい方にお勧めです。入院の必要がない事、副作用が少ない事などもメリットです。
医療用レーザーは耳鼻咽喉科領域でも日常診療に使われております。アレルギー性鼻炎に対するレーザー治療は、1995年から始まり、1999年から保険が適応になっており、広く普及しております。
※正式名称は下鼻甲介粘膜レーザー焼灼術(両側)、2910点(2014年4月1日以降)、3割負担の方で8,730円です。手術点数の他に、診察料や、薬剤処方料などが加算されます。値段はご加入の保険状況によっても変わります。
②レーザー治療の流れを教えてください
通常はレーザー治療を行う前に血液検査を行い、アレルギーの原因を調べます。また、必要に応じて内視鏡検査や鼻のレントゲン撮影を行い、副鼻腔炎や鼻中隔弯曲症、鼻茸などがないかどうかを調べます。これらの病気があるとレーザー治療だけでは症状を改善することが難しくなります。
レーザー治療は通常は日帰りで局所麻酔を使用して行います。鼻に局所麻酔液をスプレーし、さらに麻酔液のついたガーゼを15分間ほど入れます。これで手術中に痛みを感じることはほとんどなくなります。片側づつ約5分間、下鼻甲介粘膜全体にレーザーを照射します。レーザーによる出血はほとんどありませんが、粘膜を焼くにおいがします。
終了後は出血がなければ鼻にガーゼなどはつめないで、帰宅することができますが、しばらくの間は鼻を強くかむことは避けた方が良いです。レーザー治療の後は、約1週間から2週間ぐらいの間は、粘膜がやけどをしたような状態となりますのでかさぶたがつきます。かさぶたがついている間は鼻づまりが悪化します。徐々に症状は軽くなり、約1ヵ月ほどで楽になります。特に問題がなければ、そのまま仕事や学校に行ってもかまいませんが、激しい運動や飲酒などはしばらくの間避けてください。術後の感染予防のため、抗生剤を内服します。粘膜が癒着してしまうと困りますので、状況をみて通院治療します。
③レーザー治療の効果や適応について教えてください。
約90パーセントの方は鼻づまりが改善し、70%の方は鼻水、くしゃみが改善すると言われます。しかし、治療の効果には個人差がありますが、1~2年は効果が持続します。一般的には粘膜の浮腫が強い方、抗原の種類が多い方、反応が強い方、年齢の低い方、喘息を合併している方、鼻腔が狭い方は治療効果が十分に得られないことがあります。効果がなくなっても再治療を受けることが可能です。