単純疱疹(単純ヘルペス)ついて

①単純疱疹(単純ヘルペス)とはなんですか?
単純ヘルペスに感染すると、発疹や水ぶくれなどの皮膚症状が現れます。初感染の場合は、高熱などの重い全身症状を伴うことがありますが、感染しても自覚症状がなかったり、症状がまったく出なかったりすることもあります。単純ヘルペスの中では口唇ヘルペスと性器ヘルペスがよく知られています。治療法は抗ウイルス薬の外用や内服を行います。全身症状が現れるなどの重症例や免疫不全の方には、入院した上で抗ウイルス薬の点滴静脈注射を行います。その際、細菌の二次感染を防ぐために、抗生物質を服用することもあります。
再発しやすい病気ですので、ストレスや疲労をためない、紫外線に注意する、患部はいつも清潔に保つ、直接の接触を避ける、身の回りのものは共用しないなどを心がけて再発のリスクを減らし、予防することが大切です。

②口唇ヘルペスと性器ヘルペスについて教えてください
 口唇ヘルペスは「熱のはな」、「風邪の華」などと呼ばれてきた皮膚病で、主に顔面、特に口の周囲に出ます。最初は皮膚に赤く変化し、痒く(ヒリヒリ)なり、数時間後にはその部分に小水疱が出現します。水疱は数個がかたまりとなり、大きくなります。 風邪などの病気や、海水浴やスキーなどの紫外線のストレスなどが誘因となります。 再発性することが特徴で、人によっては毎週のように出る事もありますが、数年間も出ないこともあります。口内ヘルペスは口の中に小さなアフタ性口内炎としてでてきます。口内ヘルペスはかなり痛みがありますので食欲が落ちてきます。口唇、口内ヘルペスは単純ヘルペスウイルス1型が感染しておこります。そのまま放置しても、水疱がかさぶたに変化して約2週間ほどで自然治癒します。
 性器ヘルペスは、性交渉による感染がほとんどです。感染してから2日~12日の潜伏期間をおいて発症し、性器やおしりの周辺の皮膚に赤いブツブツや水ぶくれ、ただれができます。初感染の場合は、強い痛みや発熱を伴う場合があり、排尿や歩行が困難になることもあります。治療をきちんとすれば1週間程度で治ります。性器ヘルペスは主として単純ヘルペス2型ウイルスへの感染によって発症します。2型ウイルスは頻繁に再発を繰り返す傾向があります。

③帯状疱疹との違いについて教えてください
単純疱疹と帯状疱疹(帯状ヘルペス)は似ていますが、原因となるウイルスは違います。帯状疱疹の原因は水痘(みずぼうそう)のウイルスです。広い範囲に帯状に発赤と小水疱ができます。 最初の2、3日はピリピリした痛みが先行し、その後水疱が出てくるパターンが多いです。症状は個人差が大きく、水疱もパラパラ程度の人もあれば、非常に多くでる人もあります。最も困る症状は、痛みです。皮膚症状が治っても数カ月以上にわたって痛みが続く場合もあります(ヘルペス後神経痛)。一般的には高齢者の方ほど悪化しやすく、治癒が遅れる傾向があります。
帯状疱疹は全身どこにでも発生しますが、目の回りや耳の回りに出ると、角膜を侵したり聴覚や顔面神経に障害を残す場合がありますので、眼科や耳鼻咽喉科の診察が必要となります。重症の場合は入院治療が必要となることもあります。抗ヘルペスウイルス剤の内服や点滴などで治療します。