後鼻漏症候群について

①後鼻漏症候群とはなんですか?

 

鼻汁が鼻の前に流れてくる場合を前鼻漏(ぜんびろう)、のどの方へ落ちていく場合を後鼻漏(こうびろう)と言います。鼻汁がのどに落ちるため に起こる症状の総称を後鼻漏症候群と呼びます。通常、鼻、口、のどか ら1日1.2~1.5リットルの分泌液が出ており、その多くはのどを 通り胃に降りていきます。しかし、何らかの原因で鼻汁の量が多くなったり、通常時よりも粘り気がつよくなったりする(弾性と粘性の強い鼻汁になると)とのどの痛み、のどに タンがからまったような違和感、せき、口臭などの症状が強くなります。「いつも痰がからんだ感じがする」、「湿った咳がでる」などの症状が、実は後鼻漏という場合もあります。

 

 

②原因はなんですか?

 

後鼻漏症候群を起こす原因として慢性副鼻腔炎、かぜ症候群、アレルギー性鼻炎、血管運動生鼻炎、後鼻孔ポリープ、鼻中彎曲症、萎縮性鼻炎などの鼻の疾患があります。他にも鼻の疾患とはあまり関係のないものや原因が特定されていないもの(自律神経失調症、低血圧など)もあります。また後鼻漏と頭痛を主な症状とするソーンワルト症候群というものもあります。生まれたときからの鼻咽頭嚢という管(上咽頭正中に見られる、脊索の遺残から生じる先天性嚢胞、ソーンワルト嚢胞、トルンヴァルト嚢胞です。成人の発生頻度は約3%といわれます。)が残っていて、そこに感染を起こして粘液が出ます。

 

 

③どんな治療がありますか?

 

原因となっている疾患を治療することで、この症状を抑えるます。また、下気道への刺激や影響を防ぐための治療も同時に行っていきます。 ネブライザーによる吸入療法が有効となる場合も多くあります。 乾いた空気が粘膜や粘液を乾燥させてしまうため、適度な 湿度を保つこと、マスクをして寝ることなども有効です。こまめに水分をとることも、鼻汁をさらさらにするのに役立ちます。上咽頭に塩化亜鉛を塗布するBスポット療法、漢方薬による治療、鼻うがいなども行われます。根気よく、普段の生活習慣から気 をつけることが重要です。