騒音性難聴、職業性難聴、音響性外傷について
①騒音性難聴とは何ですか?
騒音性難聴は、内耳以降の聴覚器官の損傷による感音性難聴です。長時間大きな音にさらされることで、有毛細胞が損傷してしまうことが主な原因です。有毛細胞は一度損傷すると再生することが困難なため、治療することが難しい難聴です。
騒音性難聴は、工事現場で働く人や鉄道関係者、航空関係者など、大きい音にさらされる職業の方に多く見られるので「職業性難聴」とも呼ばれます。また、爆発音や炸裂音、ロックコンサートなどの強大音によって短時間で大きい音にさらされることによって起こる難聴は「音響性外傷」と呼ばれます。
②騒音性難聴はどんな時になりますか?
騒音性難聴は低音成分よりも3000ヘルツ以上の高音成分の方が傷害を起こしやすく、初期には4000ヘルツが聞こえにくくなるC5 dipという難聴を示します。音響性外傷では、音源に近い方の耳だけに起こることがありますが、騒音性難聴では、ほとんど両耳が同程度の難聴になります。同じような騒音環境にいても個人差が大きく、難聴になる人と ならない人がいます。難聴に加えて、耳鳴りを伴う場合があります。大きな音を聞くと音が割れて やかましく聴こえ、言葉の弁別(識別)も悪くなります。
身近なところでは、電車内で音楽を長時間聞く時には注意が必要です。電車内の騒音が70dBくらいだとすると、気づかないうちに100dB以上の音量で音楽を聴いてしまっている場合があります。80dB以上の音を長時間連続で聴いていると難聴が生じやすいと言われておりますので、電車内で音楽を聴くときは注意が必要です。どうしても音楽を聴きたい場合は、周りの環境騒音を最小限に防ぐことができるノイズキャンセリング機能がついたイヤホンやヘッドフォンがよいとされます。
③騒音性難聴にはどのような治療を行いますか?
急性に起こった音響性外傷では、ステロイドが有効と言われております。長期間の音響暴露で生じた騒音性難聴の治療は難しいです。騒音性難聴は予防することが大事です。騒音下に行く場合や、騒音下で仕事をする場合は遮音性の耳栓を使用したり、長時間連続の音響暴露を避けたり、ときどき耳を休ませる、規則正しい睡眠や適度の運動などが大切と言われます。また、定期的な聴力検査で難聴が進行していないかを確認することも大切です。