アデノウイルス
①アデノウイルスについて教えてください
インフルエンザウイルスはかなり有名ですが、アデノウイルスはインフルエンザウイルスの次に人の体から検出される頻度が高いといわれております。人に感染するアデノウイルスは現在49種類知られております。
インフルエンザは圧倒的に冬場に多く、症状も高熱、関節痛、全身倦怠感などが特徴的です。これに対して、アデノウイルス感染症は主に子供が感染するウイルスで、特に季節性がなく、扁桃腺やリンパ節に潜伏し、増殖して悪さをするウイルスです。夏カゼであるプール熱(咽頭結膜熱)を発生させるウイルスとしても知られています。その症状も軽いカゼ程度から重症の扁桃腺炎や肺炎、さらには結膜炎や嘔吐下痢症などバラエティに富んでいます。
②プール熱(咽頭結膜熱)はどんな病気ですか?
アデノウイルスの代表的な3つの症状は咽頭炎(のどの腫れ、痛み)、結膜炎(目ヤニ、目の充血)、高熱(38度~40度近い高熱)です。この3つの症状を発症する疾患を咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)と呼びます。潜伏期は5~7日で、感染経路は便、飛沫、直接接触によります。免疫がつきにくいため何回もかかることもあります。
プール熱(咽頭結膜熱)は主としてアデノウイルス3型が起こします。高熱が3~7日持続し、扁桃腺が腫れ、のどの痛みを訴えます。両目または片目が真っ赤に充血し、目やにが出ます。夏にプールを介して流行することがあるため、プール熱とも呼ばれていますが、プールに入らなくても飛沫や糞便を通して感染します。うがい、手洗い、プールの塩素消毒などで、ある程度予防できます。学校伝染病の一つであり、主要症状がなくなった後、2日間登校禁止となります。
③どのような治療を行いますか?
現在のところアデノウイルスそのものに効果のある抗ウイルス剤はありません。アデノウイルス感染症の治療に関しては自然治癒力による回復を考えて安静第一の治療を行うことになります。細菌の混合感染を防ぐという事から抗生剤を用いる事や、熱や脱水症状に対しての対症療法を行う場合もあります。
飛沫感染(唾液での感染)を起こしますので人ごみなどは避け、他人に感染させないようにご注意ください。また、小さなお子様で兄弟姉妹がいる場合は特に感染しやすいので、注意してください。集団生活をされているお子様は熱が下がるまでは、登園、登校しないようお願いします。アデノウイルスは症状が治った後も2週間~時には1ヶ月程度に渡り、ウイルスの排出を続ける場合があります。その為、プール熱を発生した児童は、基本的に1ヶ月程度プールへの参加はできません。