喉頭アレルギー
①喉頭アレルギーはどんな病気ですか?
発症から3週間以内の咳嗽は急性咳嗽、8週間以上持続する咳嗽は慢性咳嗽、その中間の3~8週間の咳嗽は亜急性咳嗽と呼ばれます。3週間以内に症状が軽快する急性咳嗽は急性上気道炎や上気道炎の後の咳が多く、その後も長引く咳にはこれら感染症以外の原因が認められます。長引く乾性咳嗽の原因のひとつに喉頭アレルギーがあります。モルモットを用いた研究からは喉頭においてもⅠ型アレルギーが起こることが知られております。約70%のスギ花粉の患者さんは花粉の飛散量などと一致して喉の症状が出ているとの報告もあります。
痰のからんだような感じ、掻痒感、イガイガ感、チクチクした感じの咽頭痛などが続く場合は以前からアレルギー性咽喉頭炎とよばれておりましたが、アレルギー性鼻炎と症状が重複する部分がかなりあります。また、咳喘息との鑑別も必要となります。
季節性の喉頭アレルギーでは原因花粉飛散前後に同様の症状を認め、原因となる花粉即時型アレルギー反応が陽性です。喉頭アレルギーの咳に対しては感冒薬、鎮咳薬、気管支拡張薬は無効です。アレルギー性鼻炎に準じた保存的治療、ヒスタミンH1拮抗薬で症状が改善する特徴があります。
②喉頭アレルギーの診断基準
(2000年藤田保健衛生大学耳鼻科教授内藤先生)
1 喘鳴を伴わない3週間以上持続する乾性咳嗽
2 3週間以上持続する咽喉頭異常感症
3 アトピー性原因を示唆する所見の1つ以上を認める
4 鎮咳薬、 気管支拡張剤が咳に無効
5 明らかな急性喉頭炎、異物、腫瘍の所見がなくとくに喉頭被裂部に蒼白状腫脹を認めることがあるが正常所見の事もある。
6 肺機能検査が正常
7 胸部レントゲン、 副鼻腔レントゲンに咳嗽を来し得る異常所見がない
8 ヒスタミンH2拮抗剤またはステロイド剤によって症状が消失あるいは著名改善する。
9 逆流性食道炎が想定されない。
※アトピー性原因を示唆する所見として、
1)喘息以外のアレルギー疾患の既往あるいは合併、
2)末梢血好酸球増加、
3)血清値IgE値上昇、
4)特異的IgE陽性、
5)アレルゲン皮内テスト陽性があげられます
③どのような治療がありますか?
慢性型の喉頭アレルギーでは通常のアレルギー性鼻炎の治療と同じように抗ヒスタミン薬の内服が推奨されていますが抗ヒスタミン薬に対して抵抗性のことがあります。難治性の場合は、喘息用のステロイド吸入が有効と言われます。
喉頭アレルギーの2大症状は咽喉頭異常感と執拗な咳嗽です。急性あるいはアナフィラキシー型の喉頭アレルギーでは喉頭浮腫による気道狭窄のため、速やかに血管確保、血管収縮薬投与、ステロイド全身投与や吸入を行い、これらが無効の場合は気管内挿管や気管切開が必要になるため、総合病院などの耳鼻咽喉科の受診がお勧めです。