アフタ性口内炎(aphthous stomatitis)について
①アフタ性口内炎とはなんですか?
口内炎には原発性と症候性があります。 原発性口内炎は局所的原因によるもの、 症候性口内炎は他の何らかの疾患に伴って発症してくるものです。アフタ(Aphtha)またはアフタ様病変は、形態的に「楕円形の偽膜性小潰瘍で、潰瘍の周辺には炎症性発赤(紅暈)、浮腫を伴うもの」とされています。 本症の原因は沢山あります。最初は違和感~軽度疼痛を伴う小赤斑をもって始まり、完成すると3~5mm程度の類円形の浅い潰瘍でとなり、周辺に紅暈を認めます。通常1~2週間程度の経過で治癒します。瘢痕形成することはありません。また、全身症状もほとんどありません。しばしばある期間をおいて再発しますが、再発部は必ずしも同一とは限りません。
アフタ性潰瘍は舌、口唇、歯肉、頬粘膜に好発しますが、硬口蓋、赤唇部には少ないです。角化層の明瞭な部位には発生が少ない傾向がみられます。喫煙者にはアフタの発生が少ないとする報告があります。喫煙による口腔粘膜の角化促進が影響しているのではないかと考えられています。
②アフタ性口内炎の原因は何ですか?
再発性アフタは再発性習慣性アフタ(recurrent habitual aphtha)、アフタ性口内炎などと呼ばれています。 口腔粘膜病変のなかで最も頻度が高いもので、アフタ形成の経験者は20%~60%という報告もあります。原因はまだよくわからない部分がありますが、ウイルス感染、細菌感染、食物、アレルギーによるもの、消化器疾患、ホルモン、精神的ストレス、免疫学的異常などの影響などが言われております。
免疫学的異常というのは全身系統的な自己免疫疾患というより、食物その他のアレルギーなどの原因で変性した粘膜抗原による、局所的な免疫機構の反応によるものという考えです。
栄養学的に鉄、ビタミンB12、葉酸などの欠乏の関与も言われておりますが、これは二次的な促進因子ではないかと考えられております。
③どのようにして治療しますか?
治療は痛みを和らげる対症療法が中心となります。うがい薬のほか、軟膏、ステロイド剤などが使用されます。ただし、ステロイド剤は単純ヘルペス感染症を悪化させる可能性がありますので、お薬を使う前に単純ヘルペスウイルスの感染がないことのチェックが必要です。
アフタ性口内炎はいろいろな要因が、症状を起こしやすくしたり、発症のきっかけになるのではないかと考えられています。たとえば、口の傷、ストレスや、特定の食品(チョコレート、コーヒー、ピーナッツ、卵、穀物、アーモンド、イチゴ、チーズ、トマトなど)などです。
アフタ性口内炎の予防には、口の中を清潔にすることが大切です。虫歯はアフタ性口内炎の原因のひとつになるので、食後はしっかり歯を磨くようにすると良いでしょう。口呼吸をしていると雑菌やウィルスが口腔内に侵入しやすくなるので、鼻呼吸をするように心がけると良いでしょう。