扁桃炎について

扁桃炎(へんとうえん)はどんな病気?

のどには扁桃腺というリンパ組織があります。口を開けたときに両側に見えるクルミのようなものが、口蓋扁桃(いわゆる扁桃腺)です。扁桃炎(扁桃腺炎)はここが炎症をおこした状態を言います。白っぽい膿がぽつぽつと表面に出てきたり、表面全体を白い膜がはったようにおおってしまったりすることもあります。

炎症がおこると高い熱がでたり、痛みで食事をとれなく(飲み込めなく)なってきたりします。さらにひどくなると扁桃腺のまわりに炎症が広がり、扁桃周囲膿瘍といって膿がたまってしまい、切開して膿を出さないといけなくなる場合もあります。こうなってしまうと、口が開かなくなってしまい、呼吸も苦しくなりますので入院が必要になります。ほかにアデノイドや耳管扁桃、舌根扁桃といわれる扁桃組織が、のどの入り口を取り囲むように存在します。これらの扁桃腺も炎症を起こします。

 

扁桃炎はどうして起こるの?

のどの炎症やかぜ症状の後に、扁桃腺に炎症を起こしてなることが多いです。くりかえし扁桃炎を起こしていると、くせになってしまう場合があります。くせになってしまった扁桃腺は習慣性扁桃炎といわれ、手術が必要になることがあります。高い熱を出しやすくて、学校を休むことが多いお子さんは一度耳鼻科医の診察を受けることをお勧めします。

扁桃腺は体の入り口にある一番最初の免疫組織器ですので、免疫の働きが弱くなっていると炎症を起こしやすくなります。また扁桃腺に慢性炎症があると病巣感染といって、体のはなれた場所に病気をおこしてしまうこともあります。IgA腎症は扁桃腺との関係が知られています。

 

扁桃炎にはどんな治療をしますか?

膿が出ている場合は、膿をとって中を洗浄したり、お薬をつけたりします。まわりにたまった膿は、穿刺(針を刺して抜くこと)したり、切開(切って膿をだすこと)したりします。

一般的には、扁桃腺に感染しやすいバイ菌をねらった抗生剤を飲んで治療しますが、抗生剤が効きにくい場合もありますので、完全に治るまで経過を診ながら治療することが大事です。痛みが取れても治っていない場合もあります。繰り返す原因となりますので、しっかり治しましょう。

溶連菌に感染した場合は、通常よりもさらに長い期間、抗生剤を飲む必要があります。

くせになってしまった扁桃炎は手術して摘出します。現在は入院して、全身麻酔で行う施設が多いです。くせになってしまうと、お薬の治療だけで治すことは難しくなりますので、早めに耳鼻科の受診をお勧めします。